電鉄系や流通系の電子マネーなど、
電子マネーの普及が進行していることと、
それら電子マネーがクレジットカードとの提携、
またポイント交換の提携などで、
仮想通貨経済圏が実現するのではという記事がありました。
確かに電子マネーの普及はどんどん広がっていますよね。
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2007年は電子マネー元年と言われる。首都圏の私鉄・バスで使用できるPASMO(パスモ)は3月18日の発売から僅か4日間で10 0 万枚を発売し、予想外の売れすぎで販売停止という社会現象を起こした。さらに、JR東日本が発行するSuica(スイカ)とパスモが提携し相互乗り入れが可能になった。08年2月現在、両カードの合計販売数は3000万枚を超える。また、企業は顧客囲い込みの方法として、ポイントプログラムを積極的に展開している。貯めたポイントを電子マネーや現金に交換できる仕組みも現れた。今や現金と電子マネー、さらにはポイントとの境界線もなくなりつつある。電子マネーの普及により仮想通貨経済圏の誕生が現実味を帯びてきた。
●鉄道系カードが電子マネーの起爆剤
セブン&アイ・グループが発行するnanaco(ナナコ)やイオン・グループが発行するWAON(ワオン)のカードが運営母体の業種から「流通系」と呼ばれるのに対し、JR東日本が発行するスイカと私鉄・バス連合が発行するパスモは「鉄道系」と呼ばれている。この2枚のカードが電子マネーのハードルを一気に押し下げた。新しい技術やサービスに対するユーザーの抵抗感がマーケットの成長スピードを鈍らせてしまうことが多々あるが、ソニーが開発した非接触型IC技術の「フェリカ」は、その便利さから忙しい朝の通勤スタイルを一変してしまった。スイカもパスモも中身は同じソニー製のフェリカを採用している。この事前にカードへ入金するプリペイド(前払い)方式は、面倒な手続きが要らないのが受けた。インターネットを介することなく駅の改札にある自動キップ販売機で誰でも簡単に購入できる。
この鉄道系カードの登場が、一般の消費者にも電子マネーが身近な存在として利用される大きなきっかけとなった。今や駅なかのコンビニやキオスクでは現金なしで買い物をする客の姿を多く見かける。携帯電話にも電子マネー機能が付いている機種が増えてきたが、駅の改札でチャージ(入金)できる利便性に比べるとまだハードルが高く、普及していない。筆者も移動中に小銭を使わずに買い物できる鉄道系カードを最近、頻繁に利用している。
●JALカードのマイレージプログラムが起源
電子マネーよりもポイントプログラムの方が歴史は古い。日本でポイントプログラムが本格的に導入されたのは、日本航空が発行したJALカードが最初だと言われる。利用者は海外・国内旅行で航空券を購入した際に距離に応じてマイレージをもらう。また、提携先のレストランやホテルでもクレジット機能付きのJALカードで支払いをすればマイレージポイントを貯められる。ある一定ボリュームまで貯めると特典航空券と交換できるシステムで、エコノミーからビジネスクラスへアップグレードも可能だ。ポイントを現金のように使えるマイレージサービスは人気があり、JALカードは165万人(2006年9月末日現在)の会員を集めている。
それでは、JALカードに加盟するレストランやホテルがマイレージプログラムに参加する理由はどこにあるのだろうか。加盟店は、1ポイント当たり3.5円から8円の交換レートを支払う契約になっている。ホテル1泊のマイレージは600ポイントが相場なので、約2000円のコストがホテル側に発生する。売上に対する販売促進費が10%近くになっても、富裕層でリピート率の高い優良顧客を抱えるJALカード会員に宣伝できるのは、企業にとって魅力的な集客ツールだ。
理由は他にもある。カード会員になる際に、氏名、住所、性別、生年月日といった個人の属性を記入した記憶はないだろうか。コンビニのレジにあるPOSシステムは店員によって、客の性別と年代と購入品目と金額が入力されるが、ポイント会員プログラムから得られるデータはピンポイントで客の購入履歴が分かる。そのデータを分析すると来店頻度や年間購入額、購入商品の変遷まで分かってしまう。商品の仕入れや新しい商品開発に活用でき、よりユーザーに適した提案が可能となる。
●ポイントプログラムの儲けの仕組み
マイレージプログラムの仕組みは比較的シンプルだ。通常、飛行機の座席は人気路線を除き全席埋まることはまずない。閑散期とピーク時の搭乗率は差があるが、人件費や運用コストに差がなく、さほど固定費は変わらないのが実情だ。つまり装置産業といえる。JALカード会員が貯まったマイレージポイントを利用しても、空席が埋まるだけなので原則コストは掛からない。そこで、コンピューターで座席の歩留まりを計算し閑散期の空席を活用し、マイレージポイントを配る。利用者はおまけでもらったポイントが高い航空券に代わるので顧客満足度が高い。リピート率も高くなるという訳だ。ポイントプログラムの儲けの仕組みはここにある。新たに仕入れの発生しないポイントプログラムによって、集客のための販売促進費を抑えられるので、企業にとっては嬉しい限りだ。
最近では、CD・DVDレンタル大手のTSUTAYAが発行するTカードに人気が集まっている。ポイントを貯めることが出来る提携先は、コンビニ、レストラン、ガソリン、エンターテイメントと幅広いのが魅力だ。会員数はすでに2000万人を超えた。こちらも航空会社のマイレージプログラム同様、TSUTAYAの店舗にあるレンタルDVDの回転率が上がるだけで、ポイント交換用の商品を改めて用意する必要がない。つまり販売管理費のコスト削減が図れるメリットがある。
それでは自社でポイントと変える商品を持たないカード会社などはどうしているのだろうか。ポイント交換で人気のある商品券で対応しているケースが多い。商品券は換金性も高くユーザーのニーズも高いが、企業側の仕入れコストが高く収益を圧迫している。集客効果の高いポイントプログラムを導入した企業が、販売管理費をどうやって削減するか、担当者の苦労は耐えないのが現状だ。
●ポイント交換という新しいビジネス
消費者の動向をリサーチしたデータがある。サービスを利用する際、「ポイントプログラムの有無を重視する」は、87%にのぼる。また、「なんらかのポイントサービスに加入している人」は、97・7%。「ポイント交換サービスを利用したい人」は、77・7%。「実際に利用したことがある人」は、51・4%と回答者の半数が経験ありと答えている。企業にとってポイントプログラムは、顧客囲い込みのメリットがあり今後も益々導入する企業が増えることは間違いない。
集客はしたいが販売管理コストを抑えたいという企業のニーズと、貯めたポイントを一元管理し無駄なく商品に交換したいという消費者のニーズを捉え、2007年1月にポイント交換サイトを設立した株式会社PeXの石川敬三代表取締役社長に話を聞いた。
「提携先企業で貯めたポイントをPeXのポイントと交換が可能で、利用期限は無期限を保証。利用者を保護し、現金との交換時の手数料も他社に比べ定額50円から200円と低く抑えたのが特徴だ。今後もユーザーのメリットを増やす工夫を継続していく」と石川社長は新しいビジネスに手応えを感じている。
さらに、4月1日から「PeXポイントオークション」という新しいサービスを開始する。PeXの提携企業が新商品などのプロモーションとして商品を提供し、ユーザーは自分が貯めたポイントを使って10ポイント(現金=10円相当)から参加できる。オークションに参加する遊び感覚と販売価格よりも安く手に入れられるかもしれないという期待感を演出するという新しい試みだ。おまけでもらったポイントが現金の代わりになり、さらに新商品を誰よりも早く試供できるというお金に代えられない新しい価値を生み出すことになる。「年内には100アイテムを用意したい」と石川社長は意気込む。
●仮想通貨経済圏は実現する
「新興ベンチャーは新しいサービスを次々と生み出している。大手のように巨額な販促費を投入できずに陽の目を浴びることは少ないが、ポイントサービスを繋げることで、素晴らしい商品を提供しているベンチャー企業を発掘し、ユーザーに認知してもらいたい」と石川社長はネットビジネスの可能性について強い想いを語る。
昨年は、3D仮想ゲーム大手のセカンドライフで使用される通貨「リンデンドル」が現金に換金できるということで話題になった。また、SBIイートレード証券を傘下に持つ金融イノベータの雄、SBIグループもいち早く仮想通貨経済圏の構想を持っている。昨年、SBIポイントユニオンを設立し、グループ内で使えるポイント「ありがトン」を展開しているのはその理由からだ。
今や一般消費者の間でも、普段から鉄道系カードのスイカを利用し、電子マネーを利用することになんら抵抗を感じないようになった。
結局、仮想通貨経済圏創設のカギは、消費者の利便性と企業側の実利によるところが大きいと言える。電子マネー利用のハードルが低くなり、ポイントによって交換できる商品に魅力を感じれば消費者は現金を使うか、仮想通貨を使うか問わなくなる。今後は、企業側は安心してユーザーがポイントを貯められるように、消費者保護を真剣に考えなければならなくなるだろう。金融庁も09年春からの施行に向けて法整備を進めている。すでにポイントビジネス業界では、独自のガイドラインをつくる運動が始まっている。
1816年にイギリスで始まった金本位制により通貨は信頼性を増し、貨幣経済は発展してきた。現在、ユーザーはポイント交換やポイントオークションにより、お金では買えない商品を流通させ、メーカーに代わって新たに価値創造権を模索し始めた。
21世紀は、ポイントを含む電子マネー本位制が確立され、仮想通貨経済圏が誕生するだろう。私たちは、電子マネーという新しい通貨を手に入れようとしている。
(Kigyoka.com ベンチャー企業のためのメディア - 2008年4月2日)
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